こころ 学習プリント  一  房州旅行
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  忽然  手際  笑止千万  凡て  然し  或いは  反駁  却って  悵然  所謂
2.語句の意味を調べなさい。
忽然  
笑止千万  
反駁  
悵然  

学習のポイント
1.私がKを海へ突き落とそうとしたことを確認する。
2.Kの身体・精神状態の回復と私の気持ちを理解する。
3.私がKを下宿に連れてきた理由を確認する。
4.私がKにお嬢さんへの恋を打ち明けようとしてできなかったことを理解する。
5.私のKに対する劣等感を理解する。
6.Kが言った「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」の意味と私とKの反応を理解する。  


こころ 学習プリント  二  私とお嬢さんとK
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  侘しさ  不図  賑やか  塞がる  後生大事  僅か  飛泥  自棄  寧ろ  然るべき  瑣事  躊躇  否応  鈍物  哲理  迂遠  肝心
2.語句の意味を調べなさい。
書見  
後生大事  
分別  
瑣事  
哲理  
迂遠  

学習のポイント
1.火鉢事件について理解する。
2.泥道事件について理解する。
3.お嬢さんの態度に対する私の気持ちを理解する。
4.私が奥さんにお嬢さんをくれという談判を断行できなかった理由を理解する。
5.私の恋愛論について理解する。
6.私がお嬢さんに直接打ち明けなかった理由を理解する。  


こころ 学習プリント  三 Kの告白

点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  厭  尤も  朧気  細君  年始  塊  襖  咀嚼  解しがたい  祟る
2.語句の意味を調べなさい。
細君   
年始   
注視  
平生  
一段落  
咀嚼  

学習のポイント
1.Kのいつもと似合わない話の内容を理解する。
2.私が不思議の感に打たれた理由を理解する。
3.Kの告白を聞いた瞬間の私の化石になったような様子を理解する。
4.その後の私の「人間らしい気分」を理解する。
5.私の苦痛を理解する。
6.私の感じた恐ろしさを理解する。
7.Kが私の表情に気づかなかった理由を理解する。
8.後からでも私がKに自分の心を打ち明けなかった理由を理解する。
9.私はKの姿を咀嚼して持った疑問を理解する。
10.これから先Kを相手にするのが気味悪かった理由を理解する。  


こころ 学習プリント  四 Kの迷い
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  邪魔  所作  胸に一物  陥った  天性  悄然  慈雨
2.語句の意味を調べなさい。
所作  
胸に一物  
談判  
天性  
悄然  
尻馬  

学習のポイント
1.一種変な心持ちがした理由を理解する。
2.例の事件とは何かを確認する。
3.実際的の方向とは何かを確認する。
4.「どう思う」の意味を理解する。
5.Kの平生の様子を理解する。
6.「弱い人間」とは何が弱いのか確認する。
7.「迷う」とは何に迷っているのか確認する。
8.「進んでいいのか退いていいのか」の意味を理解する。
9.「退こうと思えば退けるのか」と聞いた私の気持ちを理解する。  


こころ 学習プリント  五 Kの覚悟
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  要塞  彷徨  厳粛  滑稽  羞恥  復讐  生家  宗旨  男女  精進
  妨げ  侮蔑  刹那  卑怯  萎縮  強情  卒然  茶褐色  外套
2.語句の意味を調べなさい。
彷徨  
羞恥  
精進  
侮蔑  
刹那  
卒然  

学習のポイント
1.戦いに関係のある表現に注意する。
2.私が厳粛な態度をとった理由を理解する。
3.「精神的に向上心のない者はばかだ」をめぐる過去の経緯と私の意図を理解する。
4.Kの信条を理解する。
5.この時の私の心を理解する。
6.Kが「ぼくはばかだ」と言った気持ちを理解する。
7.Kの人格を確認する。
8.Kは何をやめてくれと言ったのかを確認する。
9.「その話」とは何かを確認する。
10.私の「残酷な答え」を確認する。
11.私の言う「覚悟」の意味を理解する。
12.Kの考える「覚悟」の意味を理解する。
13.帰り道の二人の気持ちと風景描写の関係を理解する。  


こころ 学習プリント  六 私の疑念
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  覚醒  熾烈  穏やか  宵  果断  煩悶  懊悩
2.語句の意味を調べなさい。
覚醒  
一意  
熾烈  
果断  
煩悶  
懊悩  

学習のポイント
1.Kが新しい方向に走り出さなかった理由を理解する。
2.Kの性格を理解する。
3.上野から帰った晩の私の気持ちを確認する。
4.Kが襖を開けて「もう寝たのか」と言った理由を理解する。
5.翌朝Kが「近ごろは熟睡できるのか」と聞いた理由を理解する。
6.「一般」と「例外」の内容を理解する。
7.「覚悟」に対する私の解釈を理解する。  


こころ 学習プリント  七  私の告白
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  催促  生返事  布団  膳  頓着  拘泥
2.語句の意味を調べなさい。
事を運ぶ  
生返事  
給仕  
頓着  
拘泥  

学習のポイント
1.「最後の決断」の内容を理解する。
2.奥さんに談判した時の私の様子を理解する。
3.奥さんの態度や返事を理解する。
4.お嬢さんの意向を確かめる必要がない理由を理解する。
5.お嬢さんの気持ちを推測する。  


こころ 学習プリント  八  私の良心
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  界隈  回顧  格子  気性  挙止動作  至難  面目  詰問  狡猾  窮境  障子  勘定
2.語句の意味を調べなさい。
界隈  
きまりが悪い  
挙止動作  
至難  
面目  
詰問  
狡猾  
窮境  
なじる  
どうりで  
別段  

学習のポイント
1.私の散歩中の気持ちを理解する。
2.私がKに謝れなかった心情を理解する。
3.夕飯の時の私の気持ちを理解する。
4.私がKにお嬢さんと婚約したことを話さなかった理由を理解する。
5.私のお嬢さんの婚約を知ったKの反応を理解する。
6.私のKに対する気持ちを理解する。  


こころ 学習プリント  九  Kの自殺
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  因縁  敷居  疾風  世間体
2.語句の意味を調べなさい。
因縁  
国元  

学習のポイント
1.私の「進む」と「よす」を理解する。
2.この間の晩の様子を確認する。
3.Kの自殺を目撃した時の第一の感じを理解する。
4.Kの遺書について私の予期したことを理解する。
5.Kの遺書を読み終わった私の気持ちを理解する。
6.Kの遺書の内容を理解する。
7.Kの遺書を読み終わった後の私の行動を理解する。  


こころ 学習プリント  十  私の結婚 
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  厭世  顛末  冷罵  脅かす  映る  詰問  癇  怨言  懺悔  容赦  駆逐  愛想
2.語句の意味を調べなさい。
厭世  
引き合い  
顛末  
冷罵  
年来  
詰問  
 
怨言  
懺悔  
容赦  
駆逐  
スポイル  
愛想をつかす  
3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。
 1)私はKの自殺に関する質問の裏にどんな声を聞いたか。
 2)新聞記事にはKの自殺の原因をどのように書いていたか。2つ。
 3)私がうちの者が記事に出るのを恐れていた理由は。
 4)結婚した私の幸福についていた黒い影とは。
 5)Kの墓参りをする妻と私の気持ちは。
 6)私が結婚に期待したことは。
 7)私が結婚後妻を遠ざけた理由の一点は。
 8)私がありのままを妻に打ち明けようとするとどうなるか。
 9)私が妻に打ち明けなかった理由は。
 10)私が動けなくなった理由は。

学習のポイント
1.Kの自殺の原因に対する質問を私はどのように受け止めたかを理解する。
2.Kの自殺の原因に関する報道を確認する。
3.Kの自殺の記事について私が恐れていたことを理解する。
4.Kの自殺後の私とお嬢さんの関係を整理する。
5.お嬢さんとの結婚に対するそれぞれの気持ちを理解する。
6.Kの墓参りの時の私と妻の気持ちを理解する。
7.結婚に対する私の期待と現実を理解する。
8.妻にKの自殺の原因を話さなかった理由を理解する。
9.私の結婚生活の様子を理解する。
10.私が自分に愛想を尽かした理由を理解する。
11.私の孤独感を理解する。
12.Kの自殺の原因に対する私の最終的な考えを理解する。  


こころ 学習プリント  十一  私の自殺
点検  月  日
                   組  番 氏名
学習の準備
1.読み方を書きなさい。
  牢屋  畢竟  述懐  崩御  殉死  頓死  酔狂
2.語句の意味を調べなさい。
歯がゆい  
畢竟  
述懐  
崩御  
殉死  
頓死  
酔狂  
3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。
 1)「恐ろしい力」は私に何と言うか。
 2)牢屋を突き破ることができなくなった時、私はなんと感じるようになったか。
 3)私が運命の導く最も楽な方向へ進むのを思い止まった理由は。
 4)夏の暑い盛りにどんな事件が起こったか。
 5)その時、私はどんな気がしたか。
 6)私は妻に何に殉死するつもりだと答えたか。
 7)乃木大将の書き残したものにどんな句が書かれていたか。
 8)私が妻の知らない間にこっそりこの世からいなくなるようにするのは、どんなつもりからか。
 9)私の遺書を書き残しておく努力はどんな役に立つか。
 10)妻にだけは私の過去を知られたくない理由は。

学習のポイント
1.私の内面の戦争を理解する。
2.私にとっての自殺の意味を理解する。
3.私が自殺を躊躇した理由を理解する。
4.私の明治天皇の崩御の受け止め方を理解する。
5.明治の精神とは何かを理解する。
6.私の乃木大将の殉死の受け止め方を理解する。
7.私の自殺について理解する。  


こころ  確認テスト1(Kの告白)
         組  番 氏名
1.「いつもに似合わない話」とは何か。
 ア.宗教や哲学の話。
 イ.実家に感動された話。
 ウ.奥さんとお嬢さんの話。
 エ.Kがお嬢さんへの切ない恋。
2.「人間らしい気分」とは。
 ア.私もお嬢さんが好きになった。
 イ.先を越されてしまった。
 ウ.Kへの嫉妬心。
 エ.Kにどのようにして逆襲するか。
3.私がKに一種の恐ろしさを感じるようになった理由は。
 ア.Kの方が先に告白したから。
 イ.Kの告白が意外だったから。
 ウ.Kは自分より強いと思ったから。
 エ.Kが自分のことに一切を集中していたから。
4.自分の部屋に戻った私の気持ちは。
 ア.自分の心を打ち明けなかった後悔。
 イ.自分の心を打ち明けるべきかどうかという利害。
 ウ.Kにどのようにして逆襲するか。
 エ.静かなのでKの存在を忘れていた。
5.散歩中に私が考えなかったことは。
 ア.どうして私に切ない恋を打ち明けたのか。
 イ.どうして恋がつのったのか。
 ウ.平生の彼はどこへ行ったのか。
 エ.Kにどのようにして逆襲しようか。

こころ  確認テスト2(Kの迷い)
         組  番 氏名
1.「例の事件」とは何か。
 ア.Kがお嬢さんに告白したこと。
 イ.Kが私に告白したこと。
 ウ.Kが養家の意志に背いて哲学を勉強したこと。
 エ.私がお嬢さんに告白したこと。
2.「実際的な方面に進んでいない」の「実際的な方面」 とは何か。
 ア.私に告白すること。
 イ.私に相談すること。
 ウ.お嬢さんに告白すること。
 エ.お嬢さんを諦めること。
3.「Kの平生と異なる点」とは何か。
 ア.お嬢さんに恋をしたこと。
 イ.私に告白したこと。
 ウ.私に批評を求めたこと。
 エ.私を散歩に誘ったこと。
4.「弱い人間であるのが恥ずかしい」とはどういうことか。
 ア.迷っていて自分で自分がわからないこと。
 イ.お嬢さんに恋をしていること。
 ウ.お嬢さんに告白できないこと。
 エ.お嬢さんを諦められないこと。
5.「進むんでいいか、退いていいか」の「退く」とはど うすることか。
 ア.お嬢さんに告白する。
 イ.お嬢さんを諦める。
 ウ.私に告白する。
 エ.自殺する。  


こころ  確認テスト3(Kの覚悟)
 
    組  番 氏名             点
1.「精神的に向上心のないものはばかだ」の「向上心」 とは何か。
 ア.恋のためにはすべてを捨てる。
 イ.道のためにはすべてを犠牲にする。
 ウ.しっかり勉強して出世する。
 エ.絶えず新しいことに挑戦する。
2.「復讐以上に残酷な意味」とは何か。
 ア.Kを侮蔑仕返すこと。
 イ.Kを自殺に追い込むこと。
 ウ.自分の道を積み重ねさせること。
 エ.お嬢さんをあきらめさせること。
3.その時の心は何か。
 ア.自尊心
 イ.羞恥心
 ウ.利己心
 エ.好奇心
4.「もうその話はやめよう」の「その話」とは何か。
 ア.向上心の話。
 イ.お嬢さんの話。
 ウ.道の話。
 エ.Kの話。
5.「やめるだけの覚悟があるのか」とは何を「やめる」 のか。
 ア.お嬢さんへの恋。
 イ.お嬢さんの話。
 ウ.道を積み重ねること。
 エ.自殺。  


こころ  確認テスト4(私の疑念)
 
        組  番 氏名
1.Kが新しい方角へ走り出さなかった理由は。2つ。
 ア.一人でどんどん進んでいく勇気や度胸がなかった。
 イ.修行の道が完成していなかったから。
 ウ.投げ出すことのできない尊い過去があったから。
 エ.お嬢さんが自分をどう思っているかわからないから。
 オ.私もお嬢さんが好きだと気づいたから。
 カ.進んでいいか退いていいか迷っていたから。
 キ.現代人の持たない強情と我慢があったから。
 ク.現代人の考えが欠けていたから。
2.上野公園から帰った晩に襖を開けたKの様子は。
 ア.夢の中にいるような様子であった。
 イ.普段より落ち着いていた。
 ウ.私を侮蔑しているようだった。
 エ.きっぱりと強い調子だった。
3.私が理解していたKの一般とは。
 ア.果断に飛んだ性格。
 イ.優柔な性格。
 ウ.自分で自分がわからない弱い性格。
 エ.思い詰めると何をするかわからない性格。
4.Kの「覚悟」に対する私の解釈の変化は。
 ア.お嬢さんを諦めるから、自殺する。
 イ.私に相談するから、自分の信じた道を進むへ。
 ウ.お嬢さんに告白するから、お嬢さんを諦めるへ。
 エ.お嬢さんを諦めるから、お嬢さんに告白するへ。  


こころ  確認テスト5(私と嬢とK)
         組  番 氏名
1.泥道事件のお嬢さんの反応は。
 ア.街で偶然出会ったのだとKと口裏を合わせた。
 イ.当てて見ろと私をからかう嫌な笑い方をする。
 ウ.Kと一緒に出かけたと開き直った。
 エ.出会ったのは私ではないとシラを切った。
2.Kが来る前に奥さんにお嬢さんをくれと談判しなかっ た理由は。
 ア.奥さんやお嬢さんの手に乗るのが嫌だった。
 イ.お嬢さんが好きだという自分の気持ちに気づかなか  った。
 ウ.どうせお嬢さんは自分のものだと安心していた。
 エ.Kに対する対抗心がなかったから。
3.Kが来た後に奥さんにお嬢さんをくれと談判しなかっ た理由は。
 ア.Kに嫉妬していたから。
 イ.Kが強く恐ろしかったから。
 ウ.お嬢さんはKの方が好きかもしれないから。
 エ.お嬢さんが愛のテクニシャンだったから。
4.私の恋愛観は。
 ア.自分が愛していれば相手が愛していなくてもよい。
 イ.自分が愛していて相手も愛していなければならない。 ウ.自分が愛していなくても相手が愛していればいい。
 エ.互いに愛し合っていなくてもよい。
5.私がお嬢さんに直接告白しなかった理由は。
 ア.ふられたらどうしようと不安だったから。
 イ.直接告白する勇気がなかったから。
 ウ.奥さんに言う方がOKをもらいやすいと思ったから。
 エ.相手の本当の気持ちが知りたいから。  


こころ  確認テスト6(私の告白と良心)
 
        組  番 氏名
1.私の最後の決断とは。
 ア.奥さんにお嬢さんをくれと談判する。
 イ.お嬢さんに直接プロポーズする。
 ウ.Kに自分もお嬢さんが好きだと告白する。
 エ.お嬢さんをあきらめる。
2.奥さんの返事は。
 ア.突然のことなので非常に驚き、お嬢さんと相談するから保留した。
 イ.お嬢さんと話ができていたので即座に承知した。
 ウ.Kから先にプロポーズされていたので断った。
 エ.私の財産に関する条件を出してきた。
3.街を散歩している時に私の頭になかったものは。
 ア.お嬢さんが奥さんから私の告白を聞いた時の想像。
 イ.Kがどうしているだろう。
 ウ.奥さんに談判した時の様子。
 エ.奥さんが私の告白をお嬢さんに伝えている場面。
4.正直な道を歩くつもりで足を滑らせたとはどういうことか。当てはまらないものを選べ。
 ア.Kに婚約を説明するつもりだったが、しなかった。
 イ.お嬢さんをあきらめるつもりだったのに、あきらめられなかった。
 ウ.Kの相談に乗ってやるつもりだったのに、裏切ってしまった。
 エ.お嬢さんとの恋愛を選んで、Kを裏切った。
5.Kにとっての最後の打撃とは。
 ア.お嬢さんをあきらめること。
 イ.お嬢さん進むこと。
 ウ.私とお嬢さんの婚約を知ったこと。
 エ.お嬢さんに告白して断られたこと。   


こころ  確認テスト7(私の結婚)
         組  番 氏名
1.私が妻を遠ざけた理由は。
 ア.妻に気に入らないところがあった。
 イ.妻を見るとKを思い出してしまう。
 ウ.妻がKを愛していたことがわかった。
 エ.妻が私の財産をねらっていることがわかった。
2.ありのままの事情を妻に説明できない理由とは。
 ア.私がKから先に恋の相談を受けていたことがばれる。
 イ.私が仮病を使ってお嬢さんと婚約したことがばれる。
 ウ.妻がKの自殺に関係していることを知らせたくない。
 エ.妻の信用がなくなる。
3.私が腕組みをして世の中を眺め始めた理由は。
 ア.生活に困らないから心にたるみができた。
 イ.他人だけでなく、自分にも愛想を尽かした。
 ウ.妻が自分のことを理解してくれない。
 エ.自殺するので何もする気になれない。
4.私は最終的にKの自殺の原因をどのように考えたか。
 ア.信頼していた私にも理解されず、寂しくなった。
 イ.お嬢さんに失恋した。
 ウ.理想と現実の衝突。
 エ.私にお嬢さんを横取りされた。
5.私が自殺を思い止まった理由は。
 ア.妻のことが気になった。
 イ.自殺する勇気がなかった。
 ウ.自殺するには大きな努力が必要だった。
 エ.自殺してもKは喜ばないと思った。
  



恋愛か友情か

 私は大学生である。中学の頃に両親を亡くした。幸い財産があったので生活には不自由せず、信頼していた叔父に財産の管理を任せて東京の大学へ行った。しかし、叔父は財産を横領していた。私は、信頼していた人に裏切られ、それ以来、深い人間不信に陥り、性格も暗くなった。そして、自分だけは人を裏切らない確かな人間になろうと決意した。
 故郷の家を処分し、東京で下宿した。下宿は未亡人の奥さんとお嬢さんの2人暮らしで、温かい二人のおかげで、私の心は次第にやわらいでいった。やがて、私は下宿のお嬢さんにひそかに恋心を抱くようになった。
私には幼なじみで同じ大学に通うKという親友がいた。Kの性格は私に輪をか
けて暗く、女には全く関心がなく、一度思い込むと最後までやり抜く強い意志を持っていた。進路の問題で親とトラブルを起こし、勘当されていた。経済的に非常に苦しく、精神的にも極度の神経衰弱に陥り、かなりアブナイ状態だった。
 私はKのためなら何でもやってやりたいし、Kだけは絶対に裏切るまいと心に誓い、自分の下宿に引き取り、奥さんとお嬢さんにもKの面倒を見るように頼んだ。Kの状態は日に日によくなった。
 ところが、最近、お嬢さんの態度が妙にKにだけ親切にしているように思えて嫉妬心を抱くようになっていた。そしてある日、女には全く関心がないはずのKが、お嬢さんを好きになってしまったがどうしたらいいだろうかと、親友の私に相談してきた。その時、私は思いがけないKの告白に圧倒され、何も言えず話を聞いていた。そしてKと別れて、自分もすぐにお嬢さんが好きだと告白すべきだったと後悔し、この後どうするべきか悩んだ。
 恋愛を取れば、Kとの友情を裏切ることになり、Kにショックを与え、何をしでかすかわからない。かといって、友情を取れば、お嬢さんへの恋愛を諦めることになる。私は、どうすればいいのだろう……。


さて、あなたが私ならどうしますか。必ずどちらかを選び、その理由を書いて下さい。
 ア.Kとの友情を捨てて、お嬢さんとの恋愛を選ぶ
 イ.お嬢さんとの恋愛を諦めて、Kとの友情を選ぶ。

Kの自殺をめぐる考察

                      組  番 氏名
1.私は、Kの自殺の原因は、

2.上野公園での「覚悟」の意味は、

3.その夜、襖を開けた理由は、

4.私とお嬢さんの婚約を聞いた時の落ち着いた驚きは、

5.この時までに、Kは私がお嬢さんが好きなことを、(知っていた 知らなかった)。

6.襖を開けて自殺したのは、

7.遺書の「薄志弱行」とは、

8.お嬢さんの名前を書かなかったのは、

9.もっと早く死ぬべきだったとは、



K (ただ漠然と)「どう思う」
私 「どう思うって」
K 「恋の淵に陥っている僕を君はどう眺めているのか」
私 「この際、なんで私の批評が必要なのか」
K (しょんぼりした口調で)「自分の弱い人間であるのが実際恥ずかしい。迷っている から自分で自分が分からなくなってしまったので、公平な批評を求めるよりほかしかたがない」
私 (すかさず)「迷うとはどういう意味か」
K 「進んでいいのか、退いていいのか、それに迷うのだ」
私 (すぐに)「退(ひ)こうと思えば退けるのか」
K (不意に行き詰まり苦しそうな表情で)「苦しい」
私 (厳粛な改まった態度で)「精神的に向上心のない者はばかだ」(少し間をおいても  う一度)「精神的に向上心のない者はばかだ」
K (力の乏しい声で)「ばかだ。ぼくはばかだ」
私 (Kの口を出る次の言葉を腹の中で暗に待ち受ける)
K (悲痛な感じで)「もうその話はやめよう」(頼むように)「やめてくれ」
私 (狼がすきをみて羊ののど笛に食らいつくように)「やめてくれって、ぼくが言い出したことじゃない、もともと君のほうから持ち出した話じゃないか。しかし君がやめたければ、やめてもいいが、ただ口の先でやめたってしかたがあるまい。君の心でそれをやめるだけの覚悟がなければ。いったい君は君の平生の主張をどうするつもりなのか」
K (突然、独り言のように、夢の中の言葉のように)「覚悟?覚悟、──覚悟ならない  こともない」
─────ふすまを開けて(少し間をおいて) ──────
K 「もう寝たのか」
私 「何か用か」
K (普段よりかえって落ち着いた声で)「たいした用でもない。ただもう寝たのか、ま だ起きているのかと思って、便所に行ったついでに聞いてみただけだ」
─────少し間をおいて─────
私 「昨日の夜、襖を開けて、私の名を呼んだか」
K 「確かに、襖を開けて、名前を呼んだ」
私 「なぜ、そんなことをしたのか」
K (それには答えず、調子の抜けた頃に)「近ごろは、熟睡できるのか」
私 (念を押すように)「あの事件について何か話すつもりではなかったのか」
K (強い調子で)「そうではない。昨日上野公園で、その話はもうやめようと言ったで はないか」



Kの手記

 自分(Kのこと)は養家から受けた恩は大変有り難く思っています。医者にしたいという養家の期待を裏切ったことは誠に申し訳ないことでした。しかしながら、自分はどうしても人の道を究めたい衝動を抑えることはできませんでした。明治という時代は、日本が近代国家として世界の仲間入りをする時代であり、個人も己の自由と独立を獲得する時代でした。誰もが完全な理想的な自我を心に描き、その実現に努力しようとした時代でした。自分も養家や実家から勘当されることを覚悟で自分の道に進む道を選びました。その結果、経済的に困窮し、精神的にも追い詰められました。しかし、養家や実家すら捨てたのですから、道のためには、あらゆる恋は勿論、すべてを犠牲にすべきものだいうことを第一信条にして精進してきました。
 そんな時、幼馴染みの君(私のこと)が色々と世話を焼いてくれ、君の下宿に来ないかと言ってくれました。経済的にどうにもならない所まで追い詰められていた自分にとっては大変有り難い申し出でしたので、世話になることにしました。君には大変感謝しています。無二の親友と信じています。その気持ちは今も全く変わりません。下宿には奥さんとお嬢さんがいましたが、下宿した当初は全く関心がありませんでした。
 神経衰弱であった自分の心は次第に和み、気持ちの上で少し余裕ができ、自分の道の追究に専念できるようになりました。君とは、学問だとか、将来の事業だとか、修養だとか堅い話ばかりしていました。友達のいない自分にとって、こんな話ができるのは君しか居ませんでした。君にとってはさぞ迷惑だったでしょう。君は人間らしい生き方を求める個人主義を信条としているようでした。君は盛んに恋愛について実際的な話をしていました。君はそのころからお嬢さんが好きだったのですね。房州の旅行した時、君に「精神的に向上心のない者は、ばかだ」と言いました。これは自分の信条を述べただけの積もりでした。しかし、今から思えば、あの言葉が君をひどく侮蔑してしまったのですね。当時の自分は、完全主義すぎたのかもしれません、厳格すぎたのかもしれません。それは自分の修行が足りなかった未熟さから出たものとして許していただくしかありません。
 精神的に余裕ができると、心に隙ができるものです。すると、今まで気にならなかったお嬢さんの存在が少しずつ気になりだしました。それまで全く女性と縁のなかった自分にとって、お嬢さんは身近にいる唯一の若い女性でした。お嬢さんの存在は刺激的でした。今から考えると、君が自分の心を和らげようと、お嬢さんに自分に親切にしてやるように頼んだからでしょう、お嬢さんは用もないのに何度か自分の部屋に来て、どうでもいいことを話しかけてきました。自分はどう返事していいものか戸惑ってばかり居ました。ただ、お嬢さんと話していると必ず君が帰って、お嬢さんは部屋を出て行くので、最初の内は助かったと思うことがよくありました。
 しかし、何度か同じことが続く内に、不思議なことに、自分もお嬢さんと人間らしい会話ができるようになりました。そして、次第にお嬢さんに興味を持つようになりました。そして、いつしか、今まで経験をしたことのないような妙な気持ちがするようになりました。これが、君が話していた「恋」と言うものかと気づきました。
  そして、自分で自分を抑えきれなくなりました。どうしていいかわからなくなりました。相談できるのは親友の君しかいません。自分は君の部屋のふすまを開け、つかつかと入って火鉢の前に座り込みました。ここまでの行動は衝動に動かされたものでした。そこで自分は一瞬ためらいました。相談しようと何か言葉を発しようとするのですが、自分で自分の口を動かすことができませんでした。ポツリポツリと話し始めた自分の言葉に我ながら驚きました。苦しい胸のうちを相談するつもりが、お嬢さんへの恋を口にしてしまっていたのでした。あの時、自分にもう少し余裕があって、君の表情に注意していたなら、君をここまで苦しめることはなかったと思います。しかし、あの時の自分には君がどんな気持ちで自分の話を聞いていたか、考える余裕など全くありませんでした。自分は自分のことで必死でした。
 自分は節欲や禁欲は無論、たとえ欲を離れた恋そのものでも道の妨げになると思っていましたが、実際に恋をしてみるとその不思議な力に逆らうことはできませんでした。このままお嬢さんへの恋に進むべきか、自分の道に戻るべきか迷いました。自分で自分がわからなくなりました。今まで、人の思惑など全く気にせず、こうと信じたら一人でどんどん進んでいくだけの勇気も度胸もあると信じていた自分が、こんな弱い人間だとは思いませんでした。大きな衝撃でした。こんな自分をどう思うか、また君に相談する以外ありませんでした。
 図書館で君を見つけ、散歩に誘って相談してみました。君はいきなり「退こうと思えば退けるのか」と聞いてきました。簡単に恋を諦められるぐらいなら相談などしません。自分はただ「苦しい」としか答えられませんでした。すると君は「精神的に向上心のない者は、ばかだ」と言い放ちました。房州を旅行している時に自分が君に言ったままを返されたのですから、この言葉はこたえました。君はもう一度同じ言葉を繰り返しました。その言葉で自分はようやく自分を取り戻すことができました。自分は確かにばか者でした。君の前に醜態をさらしている自分が大変恥ずかしくなりました。もうこれ以上お嬢さんの話をすることが耐えられなくなって、「もうその話はやめよう」と君に言いました。すると君が物凄い勢いで何か言いましたが、自分は動転しているのではっきり聞き取れませんてした。ただ、「覚悟」という言葉だけは耳に残りました。自分は「覚悟」という言葉を繰り返しました。恋をやめて自分の道に進まなければならないと思いました。しかし、もう自分にはそんな資格はないという声もどこかから聞こえてきます。また、このけじめをどうつけるのかという声も聞こえてきます。自分には覚悟が必要だと漠然と思いました。でも、何を覚悟するのかはっきりとはわかりません。自分はただ「覚悟───覚悟ならないこともない」と夢の中の独り言のように口走りました。その時、自分の脳裏の片隅に自殺という言葉もあったかもしれません。
 下宿に帰って、もう一度昼間のことを思い出してみました。自分の中で恋をやめる覚悟だけははっきりしていました。そして、もう一度自分の道をやり直したいという強い気持ちもありました。「精神的に向上心のないものはばかだ」、そう思うと非常に落ち着いた気持ちになりました。でも、いつも穏やかな君が、なぜ険しい顔つきをして言ったのかと考えた時、自分ははっと気がつきました。君もお嬢さんが好きだったのだ、それなのに自分はお嬢さんへの思いを君に相談してしまい、君を苦しめていた。
 とにかく、君に謝らなければならない思いました。そして、君はきっと悩んで苦しんで寝られない夜が続いているのだろうと思って、君の部屋のふすまを開けて君の名前を呼びました。ところが君は安らかに眠っていました。自分は謝るきっかけを失ってしまいました。目を覚まして「何か用か」と聞く君に対して、「たいした用でもない」と言ってしまいました。翌朝、もう一度君に「近頃は熟睡できるのか」と聞いてみました。学校へ行く途中で、君から恋についての相談ではなかったのかと聞かれて、自分はそんな未練がましい人間ではないという自尊心から、思わず強い調子で否定してしまいました。あの時、君に謝っておくべきだったと今でも後悔しています。
 あれから第三の道を探して生きることは非常に強い意志と実行力を必要としていました。第三の道とは、今までの自分の信条であった厳格主義と完全主義に貫かれた古い武士道の精神と、自由と独立と己を追究する新しい個人主義の精神の融合です。今までは自分一人で追究してきましたが、今は自分に厳しく注意してくれる君という信頼できる親友がいるという強い心の支えがありました。ただ君の協力を得るには、まず自分から君に謝らなくてはならないと思っていました。何度か機会はあったのですが、自尊心が邪魔をしてなかなか実行に移せない自分にいらだちを覚えたこともありました。
 そんなある日、奥さんから君とお嬢さんの婚約の話を聞きました。君がお嬢さんを好きであることはすでに気づいていましたから驚きませんでした。勿論、君が自分を裏切った、お嬢さんを取られたという恨みは全くありませんでした。ただ、自分が君をそこまで追い込んでいたことに驚いたのです。同時に、自分が上野公園で言った「覚悟」を、君がお嬢さんとの恋に進むと誤解していたことに驚いたのです。唯一の理解者だと思っていた君さえ自分を理解していないのかと思うと、悲しかったのです。寂寞だったのです。自分はとうとうこの世にたった一人で生きているような気がしました。
 もはや自分の居場所はなくなりました。このまま下宿を立ち去ればいいのでしょうが、自分には行く所がありません。この苦しみから救ってくれる最も楽な方法、それは自殺しかない。自殺だけが自分の前に自由に通れる道を開けていました。しかし、この家で自殺すれば、君や奥さんやお嬢さんに迷惑がかかると思う気持ちが自分を引き止めました。なんとか、生きる道を探し出そうと試みました。
 しかし、とうとう精も根も尽き果てました。自分は弱志薄行で、行く先とうてい望みのない人間です。できるだけ迷惑をかけないように遺書を書いて死ぬつもりです。お嬢さんの名前は、君とお嬢さんの今後に迷惑がかからないように書かないつもりです。また、お嬢さんには、血を見せて残酷な恐怖を与えたくありません。純白なものを純白なまま残しておきたいというのが、自分の唯一の願いです。君が最初に発見してくれるように、仕切りのふすまを開けておくつもりです。そして君の寝顔を見て、心の中で最後に君に謝まることができるでしょう。
 考えてみれば、どうして今まで生きていたのだろう、もっと早く死ぬべきだったのかもしれません。「覚悟」という言葉を口にした時に死ぬべきだったのかもしれません。いや、お嬢さんに恋をして自分の道を踏み外した時かもしれません。いや、その自分の道そのものが間違っていたとしたら養家や実家に背いた時点で死ぬべきだった、いやこんな薄志弱行の自分が生まれてきたこと自体が間違いだったのかもしれません。
                                                                                


「こころ」ワルモノ探し

                      組  番 氏名           

1.次の「こころ」の登場人物を、あなたが悪いと思う順に1〜5の番号をつけなさい。

  氏  名    私     相沢  お嬢さん  奥さん    叔父 
  自  分           
             
           
           
           
           
 グループ            

2.その理由を書きなさい。